虹を架ける鳥 5 セキセイインコのキキちゃん
前回からの続き
筆者は動物が嫌いなわけではない
むしろ好きな方ではあるが面倒が見れないので飼わないようにしていた。
妻は真面目なので毎日のルーチンをきっちりとこなす。
筆者は気分で変動する気分屋である。
仕事から疲れて帰ってきてあまり構ってあげる気分にはならなかった。
あとで考えてみればもっとたくさん可愛がってあげるべきだったと思う。
そんな中、色々な言葉を覚えてきた。
ほとんどyoutubeのインコの真似なのだが
その中で『大好きのちゅー!』
というのをハマっていたのか毎日連呼して夫婦の気を引いていた。
これがまたはっきりと言うものだから面白かった。
妻もその姿にメロメロであった。
意味は分からなくとも気が引ける言葉だと
うちのインコは理解しているようだった。
共働きで夫婦で休みが合うことが少ない私たち夫婦だったがたまに休みがあう日がある。
天気が良ければ出かけるのだが
たまにはキキちゃんを外へ連れ出そう!
と妻が言い出したのでレジャー用のカゴに入れて近くの公園へ散歩へ行った。
カラスが空を回り、うちのインコを狙っているようだった。
うちのインコが美味しそうに見えていたのだろうか。
少し歩いたところで野鳥の鳴き声が聞こえてきた。
その声にうちのインコも反応し、そわそわしていた。
どこから聞こえてきているのか探しているようだった。
そしてうちのインコも鳴き返したのだ。
『大好きのちゅー!』
いや、それは他の鳥に言ってもわからないやつじゃん!
夫婦で笑ってしまった。
うちのインコの最大のコミュニケーションがこれだったのだから
他にも色々、覚えた言葉を必死に言っていたが野鳥には相手にされていない様子だった。
外の世界が初めてのせいか色々なものを凝視してはビビって隠れたりしていた。
まさにチキンである。
車に乗っても最初は黙っていたが、すぐに慣れ始め、気付いたらカゴの天井にぶら下がり妻を心配させていた。
とにかくやんちゃなインコだった。
妻が溺愛し過ぎてワガママなインコに育っていっているような気がした。
この頃からくちばしの色がピンクから茶色へ変化し始めていた。